ご長寿ワンちゃん家庭訪問 那須研究所研究員 木村さんが行く!
西本ちゃちゃまるくん

[第7回]体の老化は進んでも変わらぬ食欲!食べっぷりもお見事な『ちゃちゃまる』くん(18歳8カ月)

17歳のとき、名古屋市からご長寿犬として表彰された『ちゃちゃまる』くんは、今では18歳と8カ月。16歳で大病をしてから体力はだいぶ落ちたものの、飼い主さんの手厚いケアを受けながら穏やかな日々を過ごすちゃちゃまるくんに会いに、西本さん宅へ訪問しました。

ご長寿犬データ
今回のご長寿犬ちゃちゃまるくん(18歳8カ月/シーズー/オス(去勢手術済み))
飼い主さん西本さん(名古屋市)
同居犬小鉄くん(12歳/シーズー/オス(去勢手術済み))
ジュウザ(1歳半/トイ・プードル/オス(去勢手術済み))
性格気性は激しく、気が強くてがんこ。昔はよく吠え、うなったり噛んだりすることもあった(去勢をすれば少しは変わるかと10歳の時に手術したが、あまり効果はみられなかった)。
出会い元飼い主さんの体調不良により、生後6カ月で引き取った。
飼育形態室内飼育

若い頃は頑固でわがまま。しつけもあまりうまくできませんでした。

西本ちゃちゃまるくん

木村(以下青字) こんにちは、おじゃまします。今回のちゃちゃまるくんも、19歳を目前にしたご長寿犬です。ところで、ちゃちゃまるくんはどちらにいらっしゃいますか?

西本さん(以下黒字) ベッドでおとなしく寝ているのが『ちゃちゃまる』です。足腰が衰えていますし、白内障で目もあまり見えていないので、ほとんど1日中寝ていて、目を覚ますと私の姿を探して動き回ります。まわりでちょろちょろしているこのコたちは、ちゃちゃまるの孫にあたる『小鉄』と、まだまだ元気いっぱいの『ジュウザ』です。

――ちゃちゃまるくん、気持ちよさそうによく寝ていますね。今、静かに眠っていますが、ちゃちゃまるくんはもともとおとなしい性格なのですか?

いえいえ、とんでもない! 前の飼い主さんから生後6カ月のちゃちゃまるを「引き取らないか」とお話をいただいたとき、当時は私も専業主事で自宅にいる時間がたくさんあったので、気軽に迎え入れたんですが、性格はきつくて頑固。しつけもぜんぜんうまくできなくて…。室内で本格的に犬を飼うのは初めてだったこともあり、こんなに大変だとは思いませんでした。

――なるほど、しつけはかなり大変だったのですね。いちばん苦労したのはどの点ですか?

前の飼い主さんから伝えられたのが、「トイレのしつけができなかったので、排泄はお散歩で」とということでした。私たちも何度かトイレのしつけにチャレンジしたのですが覚えさせることができなくて…。1日2回の散歩でするようにしました。また、私たちもちゃちゃまるのやりたいようにさせてしまったので、頑固な上に、ますます飼い主の言うことをあまりきかないわがままな犬にしてしまいました。
なかでも、いちばん大きな問題だったのはムダ吠え。私が仕事をはじめて共働きになった時期は、留守中にかなり吠えて、ご近所から苦情が出てしまったんです。当時の住まいはペット飼育は黙認されていましたが規約では禁止だったので居づらくなってしまい、ペットOKのマンションに引っ越しました。ちゃちゃまるには本当にかわいそうなことをしました。

――いろいろなご苦労があったのですね。さまざまな失敗や経験があって、ちゃちゃまるくんは今こうして穏やかな暮らしを手に入れたわけですね。

16歳で突然、意識不明の重体に陥り、一時は危険な状態に!でも奇跡的に回復して、17歳で市のご長寿表彰を受けました。

――ちゃちゃまるくんも、若い頃から病気知らずの丈夫なタイプだったのですか?

はい。小鉄は皮膚病でしょっちゅう病院に通っていたのですが、ちゃちゃまるは病気らしい病気をしたことはありませんでした。知り合いのところにいるこのコの娘も今17歳で健在。その息子でちゃちゃまるの孫の小鉄が12歳でご覧の通り元気ですから、もともと長生きの家系なのかもしれません。そうそう、ちゃちゃまるは17歳のとき、名古屋市から「長寿犬」として表彰されたんですよ!

――市からの表彰ですか! それはよい記念になりましたね。ところで、ちゃちゃまるくんは予防接種や健康診断などもちゃんと行っていたのですか?

表彰されたのはそうですね。うれしかったです。あの頃は今よりもう少し元気で表彰式にも行くことができたんです。
予防注射は狂犬病と8種混合ワクチン、それからフィラリアの予防は毎年やっていました。フィラリアの薬をもらうとき、血液検査と尿検査をしてもらっていましたが、特に異常もありませんでした。小鉄はよく病院に通うので、ちゃちゃまるのことも気になることがあれば、何かとアドバイスをいただいています。

――丈夫な体と健康管理をきちんと行ってきたことで、健康を維持してきたのですね。
ちゃちゃまるくんが高齢犬になったな、と感じるようになったのはいくつくらいからですか?

14歳くらいからでしょうか。顔の毛がだんだん白くなり、後ろ足が少し弱くなって高い所に登らなくなりました。15歳くらいから歯も抜けはじめ、白内障が進んで目もあまり見えなくなりました。耳も遠くなり、今はほとんど聞こえていないみたいです。
でも、決定的に老化が進んだのは16歳のとき。それまで病気知らずだったちゃちゃまるが、何の前触れもなく意識不明の重体になり、生死をさまよいました。、原因は特定できなかったけれど、肝臓の数値がとても悪くて口の細菌の影響による敗血症の疑いがあると言われました。治療の甲斐あって一命は取り留めましたが、その後、体の機能が急速に衰えていって…。特に足腰の衰えがひどくて、後ろ足がほとんど立たなくなって引きずって歩いています。毛吹きも悪くなって、特にしっぽは、引きずって歩くようになってからすれてほとんど抜けてしまいました。

――生死をさまようほど大変なことがあったのですね。先ほど、トイレはお散歩でさせているということでしたが、今はどうしているのですか?

足腰が弱った16歳頃から、ちゃちゃまるも行きたがらなくなったのでお散歩には行っていません。お天気のよい日にベランダに出るくらい。トイレは、以前は散歩のときしか排泄はしなかったのですが、今はコントロールがきかなくなってきたのでおむつをしています。

――そうなんですか。他に、高齢になってからの生活面での特別なケアは何かしていますか?  健康面のフォローはご自宅でもしっかりされているみたいですね。

歯が悪くなってからは、1日1回、ウエットティッシュで口のまわりと中を拭いてきれいにしています。犬にも歯磨きが必要だと知らなかったので、高齢になってからなんとか慣らしていきました。小鉄やジュウザには、ちゃちゃまるの二の舞にならないよう小さい頃から歯磨き習慣をつけました。それから、後ろ足をひきずって歩くとお尻やしっぽに「引きずりダコ」ができるので、その傷のケアも欠かさずに行っています。目が見えず耳が遠くなり、不安なのか、抱っこをせがむようになったので、抱っこバッグに入れて家事をすることも。その他に気をつけているのは温度管理ですね。冬は集めの洋服やベッドの敷物にして、夏場はガーゼ地の洋服やベッドに保冷剤を入れるなどして、環境が快適になるように調整しています。

――手厚く細やかにケアをしているのですね。

年を取って体も衰えて介護が必要なこともありますが、食欲もあるし具合が悪いというわけではないんです。今は状態も落ち着いているので、ちゃちゃまるのペースに合わせてできるだけ毎日同じ状態で過ごせるようにしています。

目も耳も衰えたけど嗅覚は健在で食べ物のニオイには敏感!食べっぷりを見ているとまだ大丈夫だと安心します。

――あっ、ちゃちゃまるくんが起きてきましたね。こんにちは、おじゃましています。シーズーにしては少し小型ですか?

いいえ、昔は体重も6〜7kgはあったので普通だと思います。今でも食欲はあるのですが体重は少しずつ減ってきて、筋肉量も落ちたので現在は3kgくらいです。

――超高齢になると、体重は減少しがちになりますからね。食が細くなることを心配される飼い主さんも多いのですが、ちゃちゃまるくんの場合はどうですか? 食欲はあるということですが、昔と比べて食が細くなっていますか?

それはないですね。若い頃から食欲は旺盛で、ムラもなく残すことはほとんどありません。今でも食欲はかなりあって、与えた分はきっちり残さず食べきります。目や耳の感覚は衰えても嗅覚は健在で、食べ物のニオイにはとても敏感です。食べることが大好きで、朝と夕方の1日2回の食事の時間は正確に把握していて、時間になると催促するんですよ。

――催促ですか。それはまだまだ元気な証拠ですね。食事の内容と1回の分量の決め方などを聞かせてください。

西本ちゃちゃまるくん

食事は総合栄養食のドライフードです。犬仲間に勧められて少しだけ手作り食に挑戦したこともありますが、栄養バランスが保てるのか不安になって、すぐにドッグフードに戻しました。フードを選ぶときは粒の大きさに気を遣います。小粒すぎると丸飲みしてノドに引っかけてケホッとなってしまうので、適度に噛むように中くらいの粒にしています。今は、お湯で少し硬めにふやかして与えています。食事の量は初めから、パッケージに書いてある量を目安に体重に見合った分量を計量して与えてきました。

――きちんと計量されているのですね! 私たちとしても、食事は目分量ではなく計量をお勧めしているのですが、毎食、秤で計量しているのはとてもいいことです! 食事の量に気を配られてきたので、肥満とも無縁だったのではないですか?

ええ、肥満にさせたことはありません。太らせないように食事量には気をつけてきましたから。 去勢手術をすると太りやすくなると聞いてからは、ちょっと太ったかなと思ったら、フードの量を減らして鶏のささみや豆腐など低カロリーのものをトッピングして調整しました。

――徹底していますね。人の食べ物のおすそ分けや間食なども気を配ってきましたか?

あ、それが、人の食べ物のおすそ分けは昔ちょっとしていました。主人が晩酌のおつまみなんかをあげちゃうんです。ビールをおちょこ1杯分くらい飲んで、酔っぱらって千鳥足になったことも(苦笑)。いけない飼い主ですね。今は味のついている食べ物のおすそ分けはしないようにしています。おやつは犬用のビスケットを少し。主人は私とくらべると犬たちと一緒にいられる時間が少ないので、仕事から帰宅したときにコミュニケーションの一環としておやつをあげています。

――千鳥足ですか(苦笑)。まあ、食欲も旺盛ということですし、食事管理もしっかり行っていらっしゃるので、食に対する悩みもなさそうですね。

ジュウザは食欲にムラがあるのですが、ちゃちゃまるに関してはなんでもよく食べてくれるので食事の悩みはほとんどなかったですね。年を取ると食が細くなると言いますが、今でも食欲は旺盛なので、食べられるうちはまだ大丈夫だと思っています。ただ、ウンチをするときに力むと体力を消耗してふらふらになることがありました。だから、なるべく力ませないようにお腹をマッサージして、排泄するときに体に負担がかからないよう、食事量もコントロールしています。

朝起きたらちゃちゃまるが元気かまず確認。このまま穏やかな日々がずっと続いてくれたらいいですね。

――ちゃちゃまるくんは、小鉄くんやジュウザくんなど仲間と一緒にいるわけですが、仲良く過ごしていますか?

小鉄とはつき合いも長いですし、ジュウザがしつこくちょっかいを出すと嫌がったりすることもありますが、それぞれがマイペースに過ごしている感じです。だれかがおやつをもらっていると、ちゃちゃまるは「自分も!」と言わんばかりに寄ってくるし、年を取ってから甘えん坊になったので、若いジュウザが加わったことは、ちゃちゃまるにとってよい刺激になっているようですね。

――最後に、もう1つ教えてください。ちゃちゃまるくんの長寿の秘訣はなんだと思いますか?

本格的に犬を飼うのは初めてで知識がなかったために、しつけのことも含めてちゃちゃまるにはかわいそうなこともしました。長生きしてほしいと願ってきましたが、特別なことをしてきた意識はありません。今みたいに介護が必要になるとも想像していなかったし。16歳で危篤状態になった後、老化が急激に進んで体の自由がきかなくなったことを思うと、自然の摂理に反して自分たちのエゴで無理やり延命してしまったのではないかと考えることもあります。もちろん、一命を取り留めてくれたことはとてもうれしいし、だからこそ言えることですが。あのとき、「別れのときが必ずくる」という心の準備ができました。今は毎朝、目を覚ますとちゃちゃまるが息をしているかどうかを確認します。とにかくこのまま穏やかな日々が少しでも長く続いたらいいなと思っています。

――ちゃちゃまるくんとの過ごす今は、毎日が充実しているようですね。あともう少しで19歳ですから、ちゃちゃまるくん、もりもり食べていつまでも元気でいてね。本日はどうもありがとうございました。

インタビューを終えて…(日清ペットフード那須研究所 研究担当 木村聖二)

西本さんご夫婦ともども、ちゃちゃまるくんはじめ、小鉄くん、ジュウザくんを家族の一員としてとても大切にされている様子がよく伝わってきました。18年前だとまだ今ほど室内飼育やしつけの情報が充実していなかったのでいろいろとご苦労されたようです。それが教訓となり、小鉄くんやジュウザくんに活かされているようでした。ちゃちゃまるくんは少し介護が必要とのことでしたが、自由に動くこともできますし、食欲旺盛でインタビュー中も見事な食べっぷりを披露してくれました。ドッグフードはきちんと計量して与え、パッケージの注意書きにもきちんと目を通して、しっかり食事管理をしてきたことは、ご長寿の秘訣の1つと言えそうです。