ご長寿ワンちゃん家庭訪問 那須研究所研究員 木村さんが行く!
西内ケントくん

[第8回]経験豊富な飼い主さんの元で安心してのんびりと暮らす『ケント』くん(15歳7カ月)

犬飼育歴30年以上のベテラン飼い主さんと暮らす『ケント』くんは、現在15歳7カ月。最近、少し認知症の症状が出てきたということですが、まだまだ元気! 先代犬の介護経験もある飼い主の西内さん(京都市)が、高齢犬と暮らすことの心構えなどをお話ししてくれました。

ご長寿犬データ
今回のご長寿犬ケント(15歳7カ月/柴/オス)
飼い主さん西内さん(京都市)
同居犬カリンちゃん(7歳/ミニチュア・ダックスフント/メス)
性格以前は気性が激しく、触られることを嫌がって噛みつくこともあったけど、今はおとなしくなった。
出会い親戚の家にいた柴犬を、近所に住むお嬢さんの家族が引き取って飼っていたが、事情で飼えなくなり、約4年前に引き取った。
飼育形態以前は屋外飼育だったが、2年前から夜は室内で過ごしている。

犬の飼育歴はかれこれ30年以上!ケントは6代目の愛犬です。

西内ケントくん

木村(以下青字) こんにちは、本日はよろしくお願いします。今回は15歳7カ月の柴犬、ケントくんが主役です。聞くところによれば、西内さんは長い犬飼育キャリアをおもちだそうですね。

西内さん(以下黒字) 最初に犬を飼いはじめたのは子どもが幼稚園に入るとき。ケントが6代目になります。もう30年以上、犬がいつも側にいる生活ですね。今はもう1頭、7歳になるミニチュア・ダックスのカリンがいるのですが、30年の間に亡くなるコもいれば新しく来るコもいて、5年周期くらいで2頭飼育になっています。犬種も、柴犬、マルチーズ、ポメラニアン、ダックスといろいろ。1歳7カ月の若さで亡くなったコもいたし、先代のマルチーズのジュリは14歳で亡くなりました。15歳を超えるのはケントがはじめてですね。ケントは4年前まですぐ近所に住んでいる娘一家のところで暮らしていたのですが、そこで飼えなくなってしまい、うちにやってきました。

――豊富な犬飼育経験をおもちなのですね。それで、お嬢さんも安心してお母様たちに任せることができたのでしょうね。

娘は今も頻繁にケントのお世話をしにきていますよ。シャンプーするときも、娘がここに来てやっていますし。若い頃のケントのくわしい様子はよくわからないのですが、体は丈夫で大病の経験も特になかったですね。動物病院には今もおもに娘が連れていきます。特に健康診断はしていないのですが、年1回の狂犬病予防注射と混合ワクチン、フィラリアの予防は欠かしません。通っている動物病院とのつき合いも長くて、かれこれ30年以上でしょうか。

――30年ですか! それは信頼関係もあるでしょうし、何かあったときに心強いですね。

そうですね。ケントは丈夫だったのでお世話になるのは年1回くらいですが、先代犬の中には頻繁に通院しているコもいましたから、なんでも相談にのってもらっています。カリンはてんかんの持病があって、このコの里親さんと同じ病院で診てもらっているのでケントとは違う病院へ。そこでもケントの健康について相談することがあります。

――2つの病院で相談にのってもらえるなんて本当に安心ですね。

14歳くらいで急に老け込んで、認知症の症状も出始めていますが、犬の介護は先代犬ですでに経験済みです。

――4年前に引き取られたということは、そのときすでにケントくんは10歳を超えていたことになりますが、その頃はどんな様子でしたか? 10歳といえばすでに高齢期と言われる年齢。老いの兆候などは出ていましたか?

その頃はまだまだ元気。12〜13歳くらいまでは健康そのものといった感じでした。14歳頃から急に年を取ったようで、毛もだいぶ白くなりましたし、白内障で目が見えづらくなっていて、最近は食器をひっくり返すことがあります。足腰が衰えてきているので体の向きを変えようとしてドスンと転ぶことも。性格もおとなしくなって動作がゆっくりになり、散歩のときもトボトボと下を向いて歩くようにもなりました。それから、認知症の症状がではじめました。散歩のときも左へ左へと行こうとするので、リードを少しゆるめて歩いています。

――認知症は特に柴犬系のワンちゃんに多くみられますからね。治療というか対症療法は何かされているのですか?

遠吠えのような夜鳴きをするようになったので、夜は安定剤を飲ませています。先代のマルチーズのジュリも14歳で亡くなる前の半年間はほとんど歩けないような状態になって、そのときに犬の介護を初めて経験しました。

――犬の介護経験もすでにおありなのですね! それはケントくんも安心。他に高齢になってから何か生活面で配慮していることはありますか?

以前は完全に庭で過ごしていたのですが、今では夜は室内に入れるようにしました。昼間庭にいるときも、今までは通路のところに長めのリードでつないでいたのですが、自由に動き回れるようにリードをはずしています。あとは、寒い時期にはハウスの中を暖かくして過ごしやすいようにしているくらい。それ以外、何か特別なことというのはしていません。

――お散歩はどうですか? 今でも毎日行っているのですか。

はい。朝は6時過ぎに10分程度、夜は娘にお願いして30分間くらい連れて行ってもらっています。足腰が弱ってきてのたのた歩くので、介護用のハーネスも購入してあるのですが、一生懸命引っぱって歩かせています。ケントは散歩が好きなので、引っぱられても喜んで行っています。

――介護用のハーネスもお持ちとは、さすがいろいろと経験されているだけあって、準備も万全ですね!

食べることにはもともと執着がないほうで…。でもなんでもよく食べてくれます。

――食事についてお話を聞かせてください。食欲に変化などはありましたか?

食欲はありますし何でもよく食べます。けれども、もともと食べることに執着するタイプではなくて、普通に食べるけどそんなに喜ばないというか。たとえば、近くに呼ぶために食べ物でおびき寄せるなんてことは絶対にできません(笑)。子犬の頃から変わらないですね。

――食に執着がないんですね(苦笑)。それでは、食べ過ぎて肥満になるなんてこともなかったのではないでしょうか。

肥満になったことはないですね。今の体重は8kgですが、だいたいずっとそのくらいだったと思います。基本的にドッグフードをきちんとあげていればおやつは必要なしと考えているので、間食は一切与えていません。だから肥満にさせずにすんだのではないかと思います。

――そうですか。毎日の食事にプラスしておやつをあげてしまうことでカロリーオーバーになり、肥満犬にさせてしまう方が多いので、間食をあげないと徹底しているのはとてもよいと思います。食事の量はどうしてますか? パッケージに書かれている給与量などを目安にされたりしますか?

西内ケントくん

いいえ。だいたい目分量というか。娘が与えていた量にならって、いつも使っているケントの食器に八分目くらい入れて与えています(計ってみると1日量は約212g)。娘が何を目安にしていたのかはよくわからないけれど、パッケージに書かれている目安量に目を通したことはほとんどありません。

――ドッグフードはどんなタイプのものを与えていますか? 高齢犬用などのステージ別は選択するときの目安になりますか?

買いに行って品切れだったら他のフードを買ってみたり、お友達から情報をもらって試してみたり……。いろいろなメーカーのものを試しつつ、基本は高齢犬用のドライフードを購入しています。フードの善し悪しは、食いつきよりもウンチの状態で判断するようにしています。食に執着はないとはいえ、ケントは何でもよく食べてくれるから、フードで悩むことはほとんどないですね。

――フード以外に何かトッピングをされるようなことはありますか?

夏場に食欲が落ちたときなどに、レンジで加熱したささみを乗せたり、薬を与えるときにハムやチーズをトッピングしたりすることはあります。
食事については最近つくづく思うんです。もう15歳も過ぎ、ケントの老い先に限りがあるのならば、いろいろとおいしいものを与えてあげたいなって。認知症の症状が出てから、これは人間と同じだなと思ったのですが、さっきごはんを食べたはずなのにまたすぐにほしがることがたまにあって、そんなときは気にせず与えるようにしています。これもダメ、あれもダメと言われながらよぼよぼになるまで長生きするよりも、おいしいものを食べて好きなことをして亡くなるのも、それはそれで幸せなんじゃないかって考えるようになりました。

ケントが毎日楽しく過ごせるよう、そして自分も後悔しないよう精一杯お世話をしてあげたいと思っています。

――「おいしいものを食べて、好きなことをして」というのも、ケントくんが15歳の大台をクリアしたというところが大きいのではないかと思います。今後の過ごし方、高齢犬との生活に思うことなどがありましたらお聞かせください。

ケントには残された余生を好きなように過ごしてほしいし、亡くなるその日までしっかり食べて、しっかり歩いてほしいと思います。自由に動けなくなった先代犬のジュリを14歳で見送ったときにも思ったのですが、犬にとって自分の足で歩けるということは一番大切。歩けなくなって介護されながら長生きするよりも、パタッと亡くなるほうが犬自身も苦しまずにすんで幸せなんじゃないかと考えてしまうんです。もちろん、ケントが亡くなったらとても悲しいけれど、それまでの日々を大切にお世話していれば、「楽しく過ごせた」とケントに思ってもらえるでしょうし、自分もそう思えます。だから、私は割り切っているんです。その代わり、後悔が残らないように、生きている間はとにかく精一杯お世話をしてあげたいと思っています。

――愛犬の介護をし、看取った経験のある西内さんならではの実感のこもったお言葉だと思います。愛犬も自分も満足でき、後悔が残らないつき合いをする。「犬の幸せ」とはなにかを考えるきっかけにもなる、深いお話を聞くことができました。ケントくん、まだまだ元気でいてくださいね。今日は本当にありがとうございました。

インタビューを終えて…(日清ペットフード那須研究所 研究担当 木村聖二)

ケントくんは認知症の症状がではじめているとのことでしたが、30年来のおつき合いがある動物病院と、カリンちゃんが通う病院の両方からアドバイスをいただけるのは、心強いのではないでしょうか。また、西内さんの長年の飼育経験を通じて自分なりの飼育経験を確立され、「間食は一切与えない」など肥満対策をしっかり講じていたことも健康維持の面では大きかったのではないかと思います。そしてなんといっても、過去に何度か愛犬との別れを経験し、介護経験までおもちのこともあり、愛犬の生死を冷静に受け止めて達観し、心の準備がすでにできている印象が強く伺えました。